天神祭⑤

老松通りに神輿を見送ったところで、すぐさま裁判所の横を抜け、中央公会堂へと向かう。
ここには「陸渡御特別観覧席」があり、少し混雑していた。ちょうど第二陣の「御羽車」と出会う。一緒に天満橋まで行くことにした。

御羽車の講は、きれいな装束を纏っていた。松葉色の袴(というのか?)に、柳色の絽(透けている生地)のような狩衣(←? 要は透ける生地の衣装を重ねていると、言いたい。私のような文章力ゼロの者にとっては、写真の力は偉大である・・・)で、これが平安朝であったならば非常に夏らしい色目で、見た目に涼しげだったろうにと思われるのだが、現代においてはちょっと暑そうで気の毒である。

しかしそういえば、私も暑い。夕陽を背にまともに浴びているのだ。それもジャケットを着用していた。白いボウタイ付きブラウスの上に、麻とはいえ紺色のジャケットだ。まったく、人のことは言えたものではなく、見た目にも暑苦しい。

ジャケットを片手に、ぶらぶらと列に混じって天満橋方面へと向かう。同じように進む人、簡易テーブルを出して枝豆・ビールで見物するグループ、ビルの部屋から見下ろす人、なぜか「死ね!」と悪態をつく婦人(?暑いからか?)、祭の独特の雰囲気が充満している。普段は人混みは嫌いなのだが、このハレの感じは少し好きだ。太鼓を叩くリズム感が妙に良いお兄さん、ヤ○ザっぽいヒゲの強面のオジさん、死にそうな風貌なのに元気に大阪締めの音頭を取るお爺さん。ヤンキーみたいなお姉さん、ママに連れられてよくわからず参加している子供。花火を見にきた浴衣姿の女の子たち、会社帰りのサラリーマン。
渡御列乗船を天満橋から見た。いろいろな人たちの様々な思いが橋の上で夕陽に照らされて溶け合っているみたいな夕暮れだった。私は橋を渡って、今度は土佐堀川に沿って、夕陽に向かって、歩いて帰った。