龍村の帯と宮尾登美子

数年前から急に着物に興味が出てきた。なにせ高価なものなので、家にあったものを直したり、小物を新調したりくらいだが、キモノ雑誌などを見ているとやはり自分の気に入ったものをつくりたくなる。その中でも私が今機会があればと狙っているもののうちの一つが龍村の帯である。
龍村織物の帯は、着物好きなら誰もが憧れるものだ。あの重厚な鎧のような美しい織物・・・あんなのを締めたらどんなに素敵だろうか。カタログを見ながらため息をつくのも楽しい。着物の醍醐味は、新調したり手入れをするたびに、手に取り愛でるという楽しみにあるのではないかと思うのだが、こういう高揚感は洋服ではそう簡単に得ることはできないだろう。宝石ともすこし違うし。もう少し、儚い感じ。

そんな着物熱が、3か月毎くらいに盛り上がるのだが(雑誌の発売に応じて・・・)、今回書店で目にとまったのが宮尾登美子の新刊『錦』だ。龍村美術の龍村平蔵の伝記だという。
いかにして織物業界で現在の地位を築いたかと、興味深く読めた。当時の妻と妾との関係、描き方も宮尾登美子ならではの乾いたリアリティ(男性作家のほうが必要以上にウェットだと思う)があり面白かった。

錦

けど、着物好きのおばさんて(宮尾登美子もよくキモノ雑誌に登場するが)なんかイジワルっぽいイメージがある。私もちょっとそうなってきたような気が・・・。よくも悪くも、閉鎖的な世界ですね。