みぃ太郎

記憶に残っている初めてのねこは、母方の祖父の家にいた "みぃ太郎"(♂)。猫好きの叔母が知り合いから貰いうけたものの、東京では飼えないと田舎へ持ちこんだ、白黒の雑種のねこだった(その後、叔母は血統書つきのペルシャと暮らしだしたが)。私は幼い頃、両親が多忙な時期に一時期祖父の家に預けられていたのだが、そのころの唯一の友達がみぃ太郎だったのだ。
仔猫は、ぐにゃぐにゃしていてとてもかわいい。いつまでも飽きることなく遊んでいたのを覚えている。

父親がさみしくないようにと持ってきた、不気味な容貌の外人さんのお人形(リリーちゃん)がどうもトモダチになれそうもないヒトだったというのもみぃ太郎と友達になれた理由かもしれない。リリーちゃんは目が開いたり閉じたりするヒトで、ボタンになってるデベソを押すとしゃべりだすのであった(おなかに小型レコードをセットするようになっていて、「ごあいさつ」とか「おしゃべり」とか、「歌」とかのバージョンがあった)。晩年には中途半端に再生部分が壊れ、目も壊れて楳図かずおのマンガみたいな貌で不気味に「ごあいさつ」する彼女が本当に、本当に、本当に怖かった。処分するのに10年以上かかった(=_=)

みぃ太郎とは、寒い夜は一緒の布団で寝た。そして時々膝に乗ってきて、動くと逃げてしまうから、私は正座がすっかり得意になった(今も茶道の稽古で褒められるのはそれだけだ)。
そのうち、私は小学生になり両親は割とヒマになり、みぃ太郎とは夏休みにだけ逢うようになった。彼は、どういうわけか年々と野生化していき、そのうちトラみたいな凶暴なねこになってしまった。

ある日、可愛さ余ってぎゅぅっとしたときにガブリとやられた。蒸し暑い季節、その傷はじゅくじゅくとして、そのあと黄色く化膿した。その夏は、みぃ太郎が怖かった。
その次の夏休みになる前に、みぃ太郎は死んだ。具合が悪かったのに、農薬が入った水を飲んでしまったらしい。

みぃ太郎が死んだ。なんだか無性に悲しくて、その時の夕暮れの景色は昨日のことのように覚えている(昨日のことは覚えてないのに不思議だ)。

今も、そういえば左腕にはその時の傷が残っている。


みぃ太郎に生き写しの、私のアイドル猫は「はっちゃん」。
サイン会にも行った(^_^;)

hatch!!!!!!はっちゃん日記〈6〉

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